年末になると、
別れ際に何気なく「良いお年を!」と挨拶をしますが、
この「良いお年を」は年末の挨拶として適切なのでしょうか?
「良いお年を」は、いつ、どのように使えば良いのでしょうか?
今回は年の瀬の挨拶として何気なく使っている、
「良いお年を」の正しい使い方を検証してみました。
「良いお年を」は年末に使う言葉? 年明けに使う言葉?
まずは「良いお年を」の意味を、おさらいしてみましょう。
昔も今も日本では12月31日の大晦日(おおみそか)を迎えるまでには、1年の総仕上げ的に大掃除や決算など、やらなければならない事が沢山ありますね。
昔は特に日用品などの買い物を「つけ」(後払い)で買い、年末に清算することが多かったようです。
庶民にとって、年末はこの支払いが出来るかどうかが一番の心配ごとで、取り敢えず無事に支払いを済ませると、
今度は1年のホコリや嫌なことを清める意味で、家中の大掃除を行ったそうです。
そうやって、やるべきことをすべて無事に終わらせると、家族で年越しそばを食べて一年の無事を喜びあい、
細く長く、健康で新しい年が無事迎えられることを神様に感謝しながら年を越したということです。
この「良いお年を」と言うのは、これから年末に向けて沢山のやるべきことを踏まえて、
「大晦日を無事に迎えるまでは、色々と大変ですが、お互いに頑張りましょう」「どうぞ良いお年を迎えられますように」という意味が込められていて、
それがいつしか短くなって「良いお年を」だけになってしまったようです。
※つまり、厳密には12月31日の大晦日になって、
「良いお年を」と言うのは間違いということになります。
当然ですが、
年が明けてから「良いお年を」を使うのも間違いですね。
ですから「良いお年を」という挨拶は、12月20日頃から12月30日までに使う挨拶ということになります。
では、12月31日になったら、どのような挨拶をすれば良いかと言うと、「また来年もよろしくお願いします」などと言うのが良いでしょう。
ちなみに「喪中」の方に対して「良いお年を」と言うのは、間違いではありませんが適切ではありませんので、この場合も「また来年もよろしくお願いします」などと言った方が差し障りの無い言い方だと思われます。
「良いお年を」を入れた、正しい使い方は?
では「良いお年を」を入れた正しい使い方をご紹介します。
1) 暮も押し迫って参りました。
皆さまにおかれましては、どうぞよいお年をお迎えください。
2) 新年には、また元気な姿で皆様と再会できますことを
楽しみにしております。
どうぞよいお年をお迎えください。
3)末筆ながら、皆様の御健勝と御多幸をお祈り申し上げます。
よいお年をお迎えください。
4) 年末に向けて、ますます寒さも厳しくなりますが、
どうぞ良いお年をお迎えください。
5) 年末にむけて、益々お忙しくなることと思いますが、
お身体に気をつけて、良いお年をお迎えください。
などという使い方が一般的だと思われます。
年末の挨拶で「良いお年を」を入れた例文
1)
○○○○年も残すところあと僅かとなりました。
今年は株価暴落など、色々な事がありましたが、
どうにか無事一年を過ごせましたのも、
〇〇様の多大なご支援の賜物であり、
大変感謝しております。
来年も何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、
本年同様にご指導ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願い致します。
〇〇様、ご家族様には健康に留意されまして、
よいお年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。
2)
誠に勝手ながら、株式会社◯◯は
〇〇〇〇年12月〇〇日(□)より〇〇〇〇年1月◯日(□)まで
年末年始休業とさせていただきます。
お客様にはご不便をおかけしますが、
何卒ご理解いただきますようお願い致します。
本年も大変お世話になり、ありがとうございました。
来年も本年同様のご愛顧を頂きますよう、
よろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
3)
師走を迎えご多忙のこととは存じますが、
年末のご挨拶をさせて頂きます。
本年中の御愛顧に心よりお礼申し上げます。
来年も引き続きご愛顧いただきますよう、
よろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えください。
まとめ
このように「良いお年を」という言葉は
「良いお年をお迎え下さい」が短くなった言葉であり、
「12月31日(大晦日)を無事に迎えることができますように」
という意味で使われる挨拶ですから、
「良いお年を」という挨拶は12月31日より前に使う、
というのが正しい使い方のようです。
12月31日を迎えた場合には
「来年もよろしくお願いします」などと言った挨拶を使い、
年末に恥ずかしい思いをしないようにしたいものですね。
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